個人事業主パーソナルトレーナーの経費一覧17選【2026年確定申告・節税ガイド】

個人事業主パーソナルトレーナーの経費一覧17選【2026年確定申告・節税ガイド】

「フリーランスのパーソナルトレーナーとして活動しているけれど、何が経費になるのかわからない」「資格取得費用やジム会費は経費に落とせる?」

こうした疑問を抱えているパーソナルトレーナーは多い。確定申告の時期になって慌てて領収書をかき集めるケースも珍しくないが、経費の把握は通年で行うのが正解だ。

国税庁の定義によれば、必要経費とは「所得税法37条に基づき、収入を得るために直接必要な費用」を指す。パーソナルトレーナーの場合、資格維持費から器具購入費、SNS広告費まで、業務に関連するさまざまな支出が経費として認められる可能性がある。

本記事では、個人事業主のパーソナルトレーナーが経費にできるもの17項目を一覧で解説する。按分が必要なケースや経費にならないNGリスト、さらに青色申告との違いまで実践的な情報をまとめた。確定申告や節税対策に取り組む前に、ぜひ一読してほしい。

経費を正しく把握すべき3つの理由

個人事業主として活動するパーソナルトレーナーにとって、経費管理は節税の核心だ。「経費を多く計上するほど課税所得が下がり、所得税・住民税・国民健康保険料が軽減される」という基本原則を理解することが、キャリアを通じた手取り額の最大化につながる。

理由1:課税所得を合法的に減らせる

所得税の計算式は「課税所得 = 収入 – 必要経費 – 各種控除」だ。たとえば年収600万円のパーソナルトレーナーが年間100万円の経費を正しく計上できれば、課税所得は500万円まで圧縮される。課税所得500万円の所得税率は20%(控除額42万7,500円)であるため、経費100万円を計上することで実質的な節税効果は20万円前後に及ぶ(住民税・国保保険料の削減効果を含めると、さらに大きくなる)。

理由2:本来払わなくていい税金を払うリスクを避ける

経費の把握が不十分なまま確定申告を行うと、本来経費として認められる支出を計上し忘れ、必要以上に税金を納めることになる。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2024年度)によると、フリーランストレーナーの年収は正社員のそれより不安定な傾向がある中で、こうした「払い過ぎ」は経営体力を着実に削ぐ。

理由3:調査・税務署への対応に備える

反対に、経費として認められないものを計上してしまうと、税務調査の際に追徴課税や無申告加算税のリスクが生じる。何が経費になり何がならないかを正確に知ることは、リスク管理の観点でも不可欠だ。

> 編集部メモ:筆者がフリーランスのトレーナー複数名に取材したところ、「資格更新費が経費になると知らず3年間申告していなかった」「プロテインの購入費は全額経費と思っていたが、自己消費分はNGだと後で知った」というケースが頻繁に聞かれた。基本を押さえるだけで年間数万〜数十万円の差が生まれる。

パーソナルトレーナーが経費にできるもの17選

以下は、個人事業主のパーソナルトレーナーが経費として計上しやすいものを17項目まとめた一覧だ。「必ず経費になるもの」と「按分が必要なもの」に分けて解説する。

必ず経費になるもの(10項目)

経費項目 具体例 科目(参考)
1. 資格取得・維持費用 NSCA-CPT受験料(46,090円)・年会費(13,200円)、NESTA認定料、JATI登録費 研修費・支払手数料
2. 専門書籍・教材費 解剖学テキスト、トレーニング理論書、栄養学参考書 新聞図書費
3. セミナー・研修費 学術学会参加費、スポーツ科学セミナー受講料 研修費
4. 業務用器具購入費 ダンベル、レジスタンスバンド、ヨガマット(出張トレーニング用) 消耗品費・工具器具備品
5. 広告・宣伝費 Instagram広告費、Google広告費、ウェブサイト制作費 広告宣伝費
6. 通信費(業務専用) 業務専用スマートフォン、業務専用Wi-Fi 通信費
7. 交通費 顧客訪問の電車・バス代、出張費用 旅費交通費
8. 損害賠償保険料 パーソナルトレーナー賠償責任保険 損害保険料
9. 会計ソフト料金 freee会計・マネーフォワードクラウド等の月額費 事務用品費・支払手数料
10. 名刺・印刷費 名刺作成費、チラシ・フライヤー印刷費 広告宣伝費・消耗品費

#### 1. 資格取得・維持費用

NSCA-CPTの受験料(会員価格46,090円税込)、年会費(13,200円)、CSCS受験料(両セクション50,200円)、NESTAの認定料やPFT更新費用などは、業務遂行に直接必要な支出として全額経費に計上できる。

健康運動指導士や理学療法士の資格を持つトレーナーの場合も、資格の更新に係るポイント取得費用(研修費)を経費として認めてもらえるケースが多い。レシートや振込明細をかならず保管しておこう。

#### 2. 専門書籍・教材費

解剖学・運動生理学・栄養学など、業務に直結する書籍は全額経費になる。電子書籍の場合も同様だ。ただし、趣味・娯楽目的の書籍は業務との関連性を問われるため注意が必要だ。

#### 3. セミナー・研修費

日本ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)のカンファレンスや、理学療法士団体主催のスポーツリハ研修など、専門性向上を目的とした研修参加費は全額経費となる。オンラインセミナーの受講料も同様だ。

#### 4. 業務用器具購入費

出張トレーニングやオンライン指導で使用するダンベル・バンド類は経費になる。ただし、1個あたり10万円以上の器具(たとえば業務用バーベルセット等)の場合は「減価償却資産」として数年にわたって経費化するルールが適用される(耐用年数に応じた定額法または定率法で処理)。

#### 5. 広告・宣伝費

InstagramやTikTok、Google広告への出稿費用はすべて経費だ。ウェブサイトの制作費・年間サーバー代・ドメイン代も同様に計上できる。

#### 6. 通信費(業務専用)

業務専用のスマートフォン契約やWi-Fi回線は全額経費となる。プライベートと兼用している場合は按分が必要(後述)。

#### 7. 交通費

クライアントの自宅や提携ジムへの訪問に使った電車・バス代、新幹線代などは経費だ。ICカードの明細やマップの記録で業務使用を証明できるようにしておくとよい。

#### 8. 損害賠償保険料

指導中の事故リスクに備えるパーソナルトレーナー向け賠償責任保険の保険料は、業務遂行上必要な支出として全額経費に計上できる。

#### 9. 会計ソフト料金

freee会計、マネーフォワードクラウド確定申告など、申告・記帳のために利用するソフトの月額・年額費用は経費になる。

#### 10. 名刺・印刷費

名刺作成費、チラシ・パンフレット印刷費は「広告宣伝費」として経費計上する。

按分が必要な経費(7項目)

「按分」とは、プライベートと業務で共用する支出について、業務に使った割合のみを経費として計上する考え方だ。合理的な根拠(使用時間・スペース比率など)をもとに、自分で比率を決定する。

経費項目 按分の考え方の例 目安比率
11. スマートフォン代 業務使用時間 / 合計使用時間 50〜80%
12. 自動車費用 走行距離記録または月間移動日数 使用比率に応じて
13. 家賃(自宅兼事務所) 業務スペース面積 / 全体面積 10〜30%が目安
14. 光熱費(自宅兼事務所) 業務スペース面積比率または使用時間 10〜20%
15. ガソリン代 走行距離記録(業務 / 全体) 使用比率に応じて
16. 接待交際費 業務目的の会食(全額可)vs 私的な会食(不可) 業務目的のもののみ全額
17. インターネット回線(自宅兼用) 業務使用時間の割合 50〜70%

#### 11. スマートフォン代

プライベートと業務で1台を兼用している場合、業務使用比率を「月間の業務通話・連絡時間」や「業務関連アプリの使用割合」などで算出して按分する。一般的には50〜80%程度を業務使用として計上することが多いが、税務署に問われた場合に説明できる合理的な根拠を持っておく必要がある。

#### 12. 自動車費用

クライアント宅や提携ジムへの移動に自家用車を使う場合、走行距離の記録帳(日付・目的地・距離)をつけておくことで、「業務走行距離 / 全体走行距離」の比率で経費を算出できる。ガソリン代・車検費用・駐車場代・自動車保険料も対象だ。

#### 13. 家賃(自宅兼事務所)

自宅の一室を事務所・オンライン指導のスタジオとして使用している場合、その部屋の面積が全体に占める割合を経費として計上できる。たとえば全体60平米のうち業務スペースが12平米(20%)であれば、家賃の20%が経費となる。

#### 14. 光熱費

自宅兼事務所の場合、電気代・ガス代・水道代も業務スペース比率で按分できる。業務に関係する機器(PC・照明等)の使用時間も加味してよい。

#### 15. ガソリン代

クライアント訪問に使用したガソリン代は、走行距離記録をもとに按分する。ETC明細・スマートフォンのGPS記録も証拠として活用できる。

#### 16. 接待交際費

業務上の顧客獲得・維持を目的とした会食費(取引先との食事など)は経費になるが、全額認められるのは明確に業務目的のものに限られる。プライベートの食事との混同は税務調査の指摘対象となるため注意が必要だ。

#### 17. インターネット回線(自宅兼用)

オンライン指導・マーケティング・業務連絡に使用するインターネット回線費用は、業務使用時間の割合で按分する。専用回線があれば全額経費となる。

経費にならないもの(NGリスト)

経費にならないものを誤って計上すると、税務調査での指摘対象になる。以下は特に注意すべきNGリストだ。

支出の種類 経費にならない理由
私的な食費・日用品 業務との関連性がない
自己消費分のサプリメント・プロテイン 業務用として顧客に提供するものは可だが、自分が飲む分は不可
国民健康保険料・国民年金保険料 「社会保険料控除」として別途控除(経費では処理しない)
iDeCo掛金 「小規模企業共済等掛金控除」として別途控除
家族への給与(生計同一親族分)白色申告の場合 青色申告の「青色事業専従者給与」は特例で認められる
趣味・娯楽目的の体験費 業務との直接的な関連性が認められないもの

国民健康保険料・国民年金は「控除」で対応

パーソナルトレーナーとして独立した際にもっとも誤解が多いのが、「健康保険料や国民年金を経費に計上してしまう」ケースだ。これらは「必要経費」ではなく、確定申告書の「社会保険料控除」欄で課税所得を減らす仕組みになっている。iDeCoも同様に、「小規模企業共済等掛金控除」として申告する。

控除と経費は「課税所得を減らす」という効果は同じだが、帳簿の処理方法が異なる。混同すると帳簿が一致せず、税務調査時に説明を求められる可能性があるため注意しよう。

サプリメント・プロテインは「顧客提供分のみ」

パーソナルトレーナーがクライアントに提供・試供するためのプロテインやサプリメントは経費として計上できる可能性があるが、自分が消費する分はプライベートの食費扱いとなり経費にはならない。明確に使用目的を分けて管理する必要がある。

経費の記録・管理方法【実践3ステップ】

経費は「使った瞬間に記録する」のが鉄則だ。後から領収書をまとめようとすると、業務目的の証明が難しくなるケースが出てくる。

Step 1: デジタルで領収書を一元管理する

クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワードクラウド)のスマートフォンアプリを使うと、領収書を写真で撮影するだけで自動的に日付・金額・取引先を読み取りデータ化できる。確定申告の青色申告特別控除(最大65万円)を受けるためには、複式簿記での記帳が必要だが、これらのソフトを使えば初心者でも対応しやすい。

Step 2: 業務日誌(ジャーナル)をつける

按分が必要な支出については、業務で使った日時・目的を記録しておく「業務日誌」が有効だ。スマートフォンのカレンダーアプリやGoogleスプレッドシートで管理する方法が手軽だ。「いつ・どこへ・何のために移動・使用したか」を日々記録することで、税務調査が入った場合も説明できる状態を維持できる。

Step 3: 年間スケジュールに合わせて定期的に整理する

タイミング 作業内容
毎月末 前月分の領収書・明細を整理し帳簿に記帳
3月(確定申告前) 年間の経費を集計・申告書に転記
1月〜(翌年) 証拠書類を7年間保存(青色申告の場合)

国税庁によると、帳簿・領収書の保存期間は法定申告期限から原則7年(白色申告は5年)だ。デジタルデータでの保存も「電子帳簿保存法」(2024年1月完全施行)に準拠すれば認められる。

青色申告と白色申告、経費管理の違い

確定申告の方式によって、経費に関するルールに差がある。

項目 青色申告 白色申告
青色申告特別控除 最大65万円(e-Tax必須)または55万円(紙申告)または10万円 なし
帳簿付けの要件 複式簿記(65万・55万控除の場合)or 単式簿記(10万控除) 単純な収支内訳書
生計同一親族への給与 青色事業専従者給与として経費計上可(届出要) 原則として経費不可
損失の繰越 純損失を翌年以降3年間繰り越し可 不可
申告開始の手続き 開業届と青色申告承認申請書を提出(期限あり) 特別な手続き不要

年収が一定以上のパーソナルトレーナーであれば、青色申告を選択することで最大65万円の控除が受けられる。課税所得が下がれば所得税だけでなく住民税・国民健康保険料の削減にもつながるため、まだ白色申告のままという人は早めに切り替えを検討したい。

青色申告承認申請書は、事業開始日から2か月以内(新規開業の場合)または前年12月31日(既存の場合は翌年の申告に間に合わせる場合)に所轄税務署に提出する必要がある。

よくある質問(FAQ)

Q1. ジムの会員費は経費にできますか?

「業務の遂行上必要」と認められれば、経費計上が可能なケースがある。たとえばクライアントを指導するために特定のジムのスペースを利用している場合や、自身のトレーニングが指導水準の維持に直接つながることを合理的に説明できる場合は、経費として認められる可能性がある。ただし、単に「体を鍛えるため」という目的では業務関連性が薄いと判断されやすい。税理士に相談の上で判断することを推奨する。

Q2. ユニフォーム(トレーナーウェア)は経費になりますか?

業務専用として使用するウェアであれば経費計上できる。プライベートでも着用するものは「家事費」として判断され、按分が難しい。「業務専用」の記録を残す方法として、ロゴ入りウェアや指定のブランドを業務用として管理する方法が有効だ。

Q3. 確定申告の際に領収書は税務署に提出する必要がありますか?

提出は不要だが、保存は義務だ。青色申告の場合は7年間、白色申告は5年間保存する義務がある。デジタルスキャンによる保存も「電子帳簿保存法」に準拠すれば認められる(2024年1月1日より電子取引データの電子保存が義務化)。

Q4. クライアントへのプレゼント代(体験後のギフト等)は経費になりますか?

「交際費」として経費計上できる可能性がある。個人事業主の場合、交際費の損金算入に法人のような制限はないが、あくまで業務目的(関係維持・顧客獲得)であることが必要だ。私的な贈り物との混同は避け、記録を残しておこう。

Q5. 自宅でオンライン指導を行う場合、家賃の何割まで経費にできますか?

上限規定はなく、「業務に使用しているスペースの面積比率」が合理的な基準だ。たとえば4LDKのうち1部屋をスタジオとして使用している場合、間取り面積に応じた比率(15〜25%程度が多い)を経費として計上する。過度に高い比率(50〜70%など)を計上すると税務調査で否認されるリスクがあるため、実態に即した数字にすることが重要だ。

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まとめ:経費の正確な把握がキャリアの安定につながる

本記事で解説した17項目の経費を正しく把握・計上することは、個人事業主のパーソナルトレーナーにとって収入を守る重要なスキルだ。

要点を整理すると:

  • 資格取得・維持費、専門書籍、セミナー費、業務用器具、広告費などは「必ず経費になるもの」
  • スマートフォン代、家賃、光熱費、自動車費用などは「按分が必要なもの」
  • 国民健康保険料・国民年金は「経費」ではなく「控除」として別途申告
  • 自己消費分のサプリ・プロテインは経費にならない
  • 青色申告を選択することで最大65万円の特別控除が受けられる

経費を正しく管理するだけで、年間数万〜数十万円の節税効果が得られるケースは珍しくない。クラウド会計ソフトを活用して通年で記帳する習慣をつけ、確定申告期に慌てない体制を整えよう。

なお、個別の経費計上の判断に迷う場合は、必ず税理士への相談を推奨する。税務の取り扱いは個別の状況によって異なるため、本記事はあくまで一般的な情報提供を目的としている。

確定申告や節税の詳細については、以下の関連記事もあわせてご参照ください。

この記事はGYM SELECT編集部が執筆しました。GYM SELECTはフィットネス業界で生きる人に特化した専門メディアです。詳しくは編集部についてをご覧ください。

参考情報

  • 国税庁「所得税法第37条(必要経費)」
  • 国税庁「帳簿書類の保存期間」(2026年時点)
  • 国税庁「電子帳簿保存法の概要」(2024年1月施行)
  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2024年度)
  • NSCAジャパン「NSCA-CPT資格概要」(2026年時点)