ジムの継続率「1年で4%」は本当か|2つの調査で実態検証

ジムの継続率「1年で4%」は本当か|2つの調査で実態検証 トレーナーキャリア

最終更新: 2026-10-26

パーソナルジムやフィットネス業界で「ジムの1年継続率はわずか4%」という数字を見かけることがある。しかし、この数字の一次情報を辿ると、確かな出典に行き着かない。一方で、ジムの利用経験者を対象にした独立した2つの調査では、1年後の継続率は41〜44%程度という結果が出ており、通説とは10倍前後の開きがある。本記事では、「4%」という数字の出どころと、実際の調査データ、継続率が大きく落ちるタイミングと理由を一次資料に基づいて整理する。

「ジムの1年継続率は4%」という数字の出どころを辿る

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ジム経営者向けの業界メディア「ジムラボ総研」が2026年10月に発表した調査レポートによると、業界やSNSで広く流通している継続率の数字には、主に次のようなパターンがあるという。

流通している数字 記載されている出典
3ヶ月後37%、1年後4%未満 「アメリカの研究」(具体的な研究名の記載なし)
1年後4〜20% 出典の記載なし

同レポートでは、これらの数字を実際に遡って一次情報を探したが、「出どころを辿っても一次情報に行き着かない」と結論づけている。つまり、「1年継続率4%」という数字は、どの研究・どの調査に基づくものか特定できない状態のまま、業界内で引用され続けている可能性がある。

実際の継続率データ:独立した2つの調査を比較

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出典不明の「4%」とは対照的に、ジムの利用経験者を対象にした実態調査が2件公表されている。いずれもサンプル数は196人だが、調査主体・実施時期は異なる独立した調査である点に注意してほしい。

調査 ジムラボ総研「ジム継続実態調査2026」 コーチム編集部調査
実施時期 2026年7月 2026年5月20日〜27日
対象 過去5年以内(2021年以降)にジムを契約した経験者 ジム契約経験のある20歳以上の男女
サンプル 196人(男性128人・女性68人) 196人(男性128人・女性68人)
方法 インターネットアンケート(クラウドソーシング経由、20問) インターネット自記式アンケート
1ヶ月後継続率 99.5% 99.5%
3ヶ月後継続率 84.7% 85.6%
6ヶ月後継続率 62.2% 63.9%
1年後継続率 41.3% 44.0%
2年後継続率 22.4% 26.7%

2つの調査は実施時期・調査主体が異なるにもかかわらず、1年後の継続率は41.3%と44.0%でおおむね近い値となっている。いずれも「4%」という通説の数字とは大きく異なり、実際の継続率はその10倍前後にあたる。

ただし、これらはいずれもクラウドソーシング経由の自己申告式アンケート(N=196)であり、総務省統計局や厚生労働省が実施するような大規模な公的統計ではない。過去の利用経験を本人の記憶に基づいて回答する形式のため、長期間(最大5年前)の記憶の正確さには限界がある。この点を踏まえ、「業界調査によると」という形で参考値として扱うのが適切といえる。

継続率が大きく落ちるタイミングと、退会の理由

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コーチム編集部の調査では、継続率の低下幅が最も大きいのは3ヶ月後から6ヶ月後の間で、この期間に継続率が21.7ポイント低下している。一方、入会から1ヶ月以内に退会した人は、退会者133人のうちわずか1人(0.8%)だった。「入会直後に離脱する人が多い」というイメージとは異なり、実際には数ヶ月通ってから離脱するケースが多数を占めている。

同調査で退会理由として挙げられた項目(複数回答)は次のとおりである。

退会理由 回答割合
モチベーションが続かなかった 48.1%
時間がなくなった・忙しくなった 45.9%
通うのが面倒になった 42.1%
料金が高くて続けられなかった 16.5%
目標を達成したので卒業した 12.8%
効果を感じられなかった 12.0%

同調査では、入会時にジムを選ぶ基準として「料金」を重視する人が多い一方、実際の退会理由としては料金は4番目にとどまっている点も指摘されている。つまり、入会の決め手と退会の決め手は必ずしも一致しておらず、「安さ」だけを訴求しても継続率の改善には直結しにくいことがうかがえる。

ジム経営者・トレーナーが実務に生かせる視点

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この調査結果は、パーソナルジムの経営やトレーナーの集客設計において、いくつかの実務的な示唆を含んでいる。

  • フォローアップの重点は「3〜6ヶ月目」に置く:継続率の低下が最も大きいのはこの時期であり、入会直後のフォローだけでは不十分といえる。
  • 「モチベーション維持」と「通いやすさ」への対策を優先する:退会理由の上位2つは料金ではなく、モチベーションと時間的な負担である。スケジュールの柔軟化や進捗の見える化など、心理的・物理的なハードルを下げる施策の方が、価格競争よりも効果が見込める可能性がある。
  • 「短期集中型」の料金モデルは、契約終了後の継続率をどう設計するかが課題になる:契約終了後に通わなくなる顧客が多い料金モデルは、長期的な収益の安定を難しくする。この点はフィットネスジムの倒産が過去最多ペースで解説した、パーソナルジム特有の経営課題とも関係している。
  • マーケティングで「continuity不安」を煽る表現は根拠を確認する:「どうせ続かない」という危機感を煽る訴求に出典不明の数字を使うと、事実と異なる説明になるリスクがある。集客施策の設計ではパーソナルジムの集客方法で解説したような、実態に基づく訴求を心がけたい。

業界の統計データはパーソナルジム業界の統計まとめでも定期的に更新しているため、経営判断の参考にあわせて確認してほしい。

よくある質問

Q1. 「1年継続率4%」という数字は完全に誤りなのか

現時点で確認できる限り、この数字の一次情報(元になった研究や調査)は特定できていない。誤りと断定する一次資料はないが、出典が確認できないまま広まっている数字であることは確かであり、根拠として引用する際には注意が必要である。

Q2. 2つの調査で数字が一致しないのはなぜか

調査主体・実施時期・対象者の抽出方法が異なるため、完全に一致する数値にはならない。1年後の継続率が41.3%と44.0%という近い範囲に収まっている点が、むしろ「4%」という通説との乖離を裏付ける材料といえる。

まとめ:ジムの継続率「4%」説と実態のギャップ

  • 「1年継続率4%」という数字は、ジムラボ総研の調査によると一次情報に行き着かず、出典が確認できない
  • 独立した2つの調査(いずれもN=196)では、1年後の継続率は41.3%・44.0%とおおむね近い値で、通説の10倍前後に当たる
  • 継続率の低下が最も大きいのは入会3〜6ヶ月後で、退会理由の上位はモチベーション低下・時間的負担・通う手間であり、料金は4番目にとどまる
  • パーソナルジムの経営・集客設計では、入会直後だけでなく3〜6ヶ月目のフォローや、料金以外の継続要因への対策が実務的な論点になる
  • いずれの調査もクラウドソーシング経由の自己申告式アンケート(N=196)であり、公的統計ではない参考値として扱うのが適切

参考情報