フィットネスジムの倒産が過去最多ペース|筋トレ人口減少でも店舗が増える市場構造

フィットネスジムの倒産が過去最多ペース|筋トレ人口減少でも店舗が増える市場構造 トレーナーキャリア

最終更新: 2026-10-23

帝国データバンクの集計によると、フィットネスクラブ事業者の倒産は2026年1〜7月で23件に達し、前年同期(19件)を上回るペースで推移している。このまま進めば年間40件に達し、過去最多だった2023年を超える可能性がある。一方で、筋力トレーニングを行う人の数は減少傾向にあるにもかかわらず、全国のフィットネス施設数自体は増え続けているという一見矛盾した状況が起きている。本記事では、倒産の実態・背景を一次資料で確認し、同じ市場で会員の退会率を低く抑えているchocoZAPやカーブスとの違いから、パーソナルジム経営者が押さえておくべき視点を整理する。

倒産件数の実態:2026年は過去最多ペース

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帝国データバンクの調査では、フィットネスクラブ事業者の倒産が2026年1〜7月の7カ月間で23件発生した。前年同期は19件で、7カ月間ですでに前年同期を上回っている。

期間 倒産件数
2026年1〜7月 23件
2025年1〜7月(前年同期) 19件
過去最多(2023年、年間) 40件未到達だが最多年

このペースが続けば2026年の年間件数は過去最多の40件規模に達する可能性があると報じられている(時点: 2026年8月の集計)。

倒産が増える背景

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帝国データバンクの分析では、倒産の背景として以下の構造的な要因が指摘されている。

  • オーバーストア状態:都市部の駅前など限られた商圏に複数のジムが集中する「ドミナント出店」が進み、会員獲得競争が激化している。
  • 販促キャンペーンの常態化:「入会金無料」などの値引きが常態化し、正規価格への移行時に会員が離脱しやすい構造になっている。
  • 人件費・光熱費の上昇:専門インストラクターの引き抜きによる人材不足と人件費上昇、エネルギー価格上昇による光熱費増加が収益を圧迫している。
  • パーソナルジム特有の課題:倒産事業者の6割以上が設立10年未満で、うちパーソナルジム業態が6件を占める。「2〜3カ月の短期集中ダイエット」型の料金モデルは、契約終了後に会員が継続しない構造になりやすく、安定的な収益確保が難しいと指摘されている。

参入障壁が低く新規開業が相次ぐ一方で、同じ商圏内での価格競争に巻き込まれやすいのがパーソナルジム業態の特徴といえる。

店舗数が増えているのに倒産も増える理由

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矢野経済研究所「フィットネス施設に関する調査」(2025年)によると、全国の民営フィットネス施設は2025年8月時点で13,876施設となっており、2024年9月〜2025年8月の1年間で新規に1,266施設が開業している。つまり、既存施設の倒産・閉店と新規開業が同時進行しており、市場全体としては「入れ替わりながら施設数が増えている」状態にある。

一方、運動人口の側面では異なる動きが見られる。笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」(2024年6〜7月実施)によると、国内の筋力トレーニング推計人口は約1,629万人で、2000年の約726万人からは倍増したものの、2020年の約1,820万人からは減少している。

つまり「需要(筋トレ人口)は2020年をピークに頭打ち」「供給(施設数)は増加を継続」という需給のギャップが、商圏内の競争激化と倒産増加の一因になっていると考えられる。

好調な大手との違い:chocoZAPとカーブスの事例

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同じ市場環境でも、低価格×省人化、または特定層への特化で踏ん張っている事業者もある。

項目 chocoZAP カーブス
モデル 24時間無人型・コンビニジム 女性専用・30分フィットネス
店舗数/会員数 国内2,000店舗超(2026年7月17日時点) 会員数は国内最大規模(店舗数非公表)
直近の指標 会員数116.1万人(2026年5月14日時点) 月次退会率2.07%(2026年8月期平均)

chocoZAPは無人運営によって人件費を抑えつつ低価格・24時間利用という利便性で会員数を伸ばしている。カーブスは女性専用・短時間・コミュニティ型という特化戦略により、月間の退会率を2%台(会員100人のうち毎月退会するのは2〜3人程度)という低水準に抑えている。いずれも「価格競争に巻き込まれにくい独自のポジショニング」を持つ点が共通している。

小規模パーソナルジムがchocoZAPのような無人運営やカーブスのような大規模コミュニティをそのまま模倣することは難しいが、「誰のための店舗か」「何で価格競争を避けるか」を明確にする発想自体は参考になる。

パーソナルジム経営者が検討すべき視点

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  • 出店前に商圏の競合密度を確認する:開業エリアの選び方で解説した都道府県別のジム数データは、オーバーストアを避けるための基礎情報になる。
  • 短期集中モデルだけに依存しない収益設計を検討する:契約終了後の継続率をどう確保するか(回数券、月額継続プラン、オンラインフォローなど)を、倒産データが示す構造的な弱点として意識しておく。
  • 単独経営の限界を感じた場合は提携・譲渡という選択肢もある:業界で相次ぐM&A・資本提携の動きで整理したように、技術導入や業態の多様化を外部との提携で補う事業者も増えている。
  • 退会率そのものを経営指標として追う:カーブスの事例が示すように、低価格競争ではなく退会率の低さで収益の安定度を測る視点は、パーソナルジムでも応用できる。

業界全体の施設数・市場規模データはパーソナルジム業界の統計まとめでも定期的に更新しているため、出店・経営判断の参考にあわせて確認してほしい。

まとめ:倒産増加の裏にある市場構造

  • 帝国データバンクの集計で、フィットネスクラブ事業者の倒産は2026年1〜7月で23件(前年同期19件)に達し、年間では過去最多ペース
  • 背景には、都市部でのオーバーストア、販促キャンペーン常態化による定着率の低さ、人件費・光熱費の上昇、パーソナルジム特有の短期集中モデルの収益構造がある
  • 矢野経済研究所の調査では施設数自体は増加基調(2025年8月時点13,876施設)、笹川スポーツ財団の調査では筋トレ人口は2020年から減少傾向で、需給のギャップが競争激化の一因になっている
  • chocoZAP(省人化×低価格)、カーブス(特化×低退会率)のように、価格競争に巻き込まれにくいポジショニングを持つ事業者は踏ん張っている
  • 出店前の商圏精査、短期集中モデル依存からの脱却、退会率そのものを指標にする発想が、パーソナルジム経営者にとっての実務的な論点になる

この記事はGYM SELECT編集部が執筆しました。GYM SELECTはフィットネス業界で働く人・経営する人に特化した専門メディアです。詳しくは編集部についてをご覧ください。

参考情報

  • 帝国データバンク「フィットネスクラブ事業者の倒産動向」に基づく報道(確認日: 2026-10-23、2026年1〜7月の倒産件数・前年同期比・背景要因の記載あり)https://news.yahoo.co.jp/articles/ed0d8ed9e8b9c9961945ab4a2a778bd4d03060d2
  • 矢野経済研究所「フィットネス施設に関する調査を実施(2025年)」(確認日: 2026-10-23、全国施設数・新規開業数の記載あり)https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3992
  • 笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」(2024年6〜7月実施、確認日: 2026-10-23、筋力トレーニング推計人口の記載あり)https://www.ssf.or.jp/thinktank/sports_life/data/workout.html
  • chocoZAP国内2,000店舗突破に関する報道(確認日: 2026-10-23、店舗数・会員数の記載あり)https://bthefit.com/news/post-17382
  • 株式会社カーブスホールディングス 決算関連資料・報道に基づく月次退会率データ(確認日: 2026-10-23)https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/financialfield/life/financialfield-478692